消費者庁の調査によると、高齢者の転倒事故の大半は住宅内で発生しているといわれています。家の中には階段や段差、滑りやすい床など、事故が起こりやすい箇所が多くあるので、介護に備えて改修工事を行いましょう。
改修工事は場所によっては高額な費用がかかるので、補助金や助成金を活用するのがおすすめです。本記事では、介護のための改修工事で活用できる補助金・助成金について、くわしく解説していきます。
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介護リフォームとは?
介護リフォームとは、介護が必要な人のために行う自宅の改修工事のことを指します。手すりを設置したり、段差を解消したりするなどの工事が該当するのです。
実は、高齢者の転倒事故の約5割は自宅内で起こるといわれています。住み慣れた家の中には、階段やちょっとした段差、滑りやすい床など、危険が数多く潜んでいるのです。
危険な場所を把握することで、転倒事故のリスクを軽減することができます。なお、気を付けても事故を防ぐことが難しい場所については、なるべく早く介護リフォームを検討することがおすすめされているのです。
リフォームを検討するタイミングとしては、要支援・要介護認定を受けた時点で速やかに介護リフォームを進めましょう。万が一転倒してしまうと、大腿骨を骨折したり、腰痛が起こったりと大きなけがを負う危険性があります。最悪の場合、そのまま寝たきりになってしまう可能性もあるのです。
介護に備えたリフォームを行うことで精神的にも余裕が生まれるので、早めに行動に移すようにしましょう。
助成金には「介護保険」と「各市区町村の助成金」の2種類ある
介護リフォームを行うにあたって、気になるのはコストという方も多いのではないでしょうか?必要な改修工事は行いつつ、できるだけ費用は抑えたいものです。
2024年現在、介護リフォームの費用を抑える方法としては、「介護保険」と「各市区町村による独自の助成金制度」の2種類があります。介護保険は、要支援・要介護認定を受けていることが条件とされており、最大20万円の補助金を受け取れるのです。ただし、定められた6種類の工事が対象となります。
具体的には、「手すりの取り付け」「段差の解消」「床材を滑りにくい素材に替える」「扉の取り替え」「便器の交換・場所の変更」が該当します。また、これらの工事にともなって必要となる下地工事なども対象とされるのです。
各市区町村による助成金制度は、自治体によって条件や内容が異なりますが、要介護認定がなくても受けられることもあります。補助金額や適用される工事内容は、市区町村によって異なるのです。
介護保険を利用する場合
「介護保険」とは、40歳から加入が義務付けられている保険制度のことです。要支援・要介護認定を受けた際に、介護費用の一部が負担されます。もちろん、介護リフォームにも適用されるのです。
住宅改修費の支給を受けるための条件
住宅改修費の支給を受けるためには、「要支援・要介護認定を受けていること」「改修を行う住宅が利用者の介護保険被保険者証の住所と同一であり、実際に居住していること」「利用者が入院や福祉施設への入居などで自宅を離れていないこと」「利用者が以前に上限額まで住宅改修費の支給を利用していないこと」という4つの条件をクリアする必要があります。なお、住宅改修費は、ほかの介護サービスの区分支給限度額とは別で支給されるものです。
ただし、4つ目の条件である「利用者が以前、上限額まで住宅改修費の支給を受けていないこと」については、引っ越しなどで住宅が変わった場合や要介護度が3以上になった場合には再度支給を受けられます。また、上限は定められていますが、一度で使い切らないといけないわけではなく、上限額までは分割して利用することも可能です。
補助金額・支給方法
介護保険による介護リフォームの補助金は、最大20万円と定められています。なお、その中には自己負担額も含まれており、一般的な1割負担の場合は最大18万円が支給されるのです。
介護保険の補助金は、利用者が全額工事業者に支払った後で自治体から支給される「償還払い」を採用しています。そのため、一時的に介護リフォーム費用を用意する必要はありますが、自治体によっては「受領委任払い方式」に変更できることもあるのです。
受領委任払いとは、工事費のうち自己負担額分を支払い、残りは自治体から直接業者に支払われる方法のことです。工事費用の工面が難しい方にとってはありがたい制度ですが、自治体によっては実施していない場合もあるので、気になる方は居住している地域の自治体に問い合わせてみましょう。
申請方法
介護保険による介護リフォームの補助金を受けるためには、まず要介護・要支援の認定を受ける必要があります。担当のケアマネジャーに改修に関する相談を行い、施工業者同席のもとで打ち合わせを行うのです。
業者が作成した見積書を確認し、工事内容を理解した上で契約します。次に、必要書類を用意して事前申請を行いましょう。事前審査が通ったら、着工となります。
償還払いの場合は、利用者が全額を業者に支払い、リフォーム完工後に再び自治体に申請することで、補助金を受け取ることができます。注意するポイントとしては、着工前後で2回申請を行わなければならないという点です。
また、リフォーム後は領収書の原本などが必要となるので、書類の紛失に気を付けましょう。
市区町村の助成金を利用する場合
介護リフォームの工事費には介護保険だけでなく、市区町村が独自で実施する助成金も活用することができます。市区町村が行っている助成金は、自治体によって条件や上限額などが異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。
住宅改修費の支給事例
各市区町村が独自で行う助成金制度は、介護保険の介護リフォーム費用支給よりも条件が厳しいことが多く、負担割合も少ないのが一般的です。助成制度を利用できたとしても、あくまでも介護保険の補助として考えておきましょう。
また、これらの補助制度は、介護認定が必要とされていないものや介護保険と併用できるものなど、自治体によってさまざまです。たとえば、大阪府大阪市の場合、所得に応じて5~30万円までの工事費が支給されます。ただし、1世帯につき、1回までの利用が認められているのです。
また、神奈川県横浜市では、必要性が確認できた工事費用を対象として、最大100万円まで助成金が支給されます。世帯主の前年度の所得額に応じて自己負担額が決定されるのです。利用は原則1回までと定められています。
介護保険と併用できない可能性もある
各市区町村が独自で行う助成金制度は、介護保険に比べて厳しい条件が課されていることがほとんどです。地域によっては併用が認められていないこともあります。
また、対象工事が自治体による助成金と介護保険とで重複する場合には、介護保険が優先されるのが一般的です。まず介護保険を申請した上で、工事費がまかなえなかった場合に各市区町村による助成金で補うとよいでしょう。
ただし、各自治体によって条件は異なるので、気になる方は居住している地域の窓口に確認してみることをおすすめします。
介護リフォームのポイント
体が不自由な人でも安心して暮らせる住宅にするためには、どのような点に気をつけておくべきなのか、疑問に感じる方もいらっしゃるかと思われます。 ここからは、介護リフォームの工事におけるポイントを、かんたんにご紹介します。
体の状態に応じた工事にする
要介護・要支援と大きくいっても、実際にはどんな支えが必要なのかは、それぞれの状況によって異なります。たとえば足腰が弱い方でも、歩行は自力でできる人もいれば、車椅子を自力で動かせる人、車椅子を押してもらう必要がある人など、程度に大きな差があるため、そのレベルに応じた改修工事をしなければなりません。
たとえば自力歩行ができる方であれば、廊下に手すりを設置したり、転倒を防ぐ工夫が優先されます。車椅子の方であれば、廊下の幅を広くした方が通りやすくなるでしょう。
家に適したリフォームにする
住宅のリフォームでは、家の築年数や賃貸か持ち家かといった違いで、可能なリフォームの範囲が異なり、さらにその中で家に応じたリフォームをする必要があります。
たとえば賃貸住宅の場合、大家さんや管理会社から許可をもらわなければ、壁や床を自由に工事することができません。そのため工事を検討するのであれば、業者や家の管理人、ケアマネージャーにも相談し、工事ができる範囲内での優先順位を立てたうえでリフォームしましょう。
なおリフォームでは、予算や時間も把握しなければなりません。必要な改修を整理するには、要望やライフスタイル、将来の介護ニーズの見通しなどをまとめ、綿密なリフォーム計画を立てるようにしましょう。
「介護する側・される側」両方にとっての利便性を取り入れる
リフォーム計画を立てるにあたり、被介護者にとって利便性にすぐれているのはもちろんのこと、介護側にとっても介護しやすい環境を作ることも重視しましょう。ただでさえ介護は容易なことではないため、介護者がストレスや疲労で心身ともに健康状態が崩れてしまう事例は跡を絶ちません。
そのため、介護者となる家族やヘルパーの方が、不自由さや不便さを感じるようなことは、絶対に避けましょう。介護する側・される側、どちらの立場も考慮したリフォームができることが、非常に望ましいといえます。
介護しやすいリフォームの例として、介護作業スペースの確保や手すりの設置、移動経路の整備などが挙げられるでしょう。介護者の負担を軽減できるかどうかは、質の高い介護の提供にも大きく影響します。
まとめ
今回は、介護リフォームで利用できる補助金・助成金について解説しました。介護リフォームとは、介護が必要な方のために行う自宅の改修工事のことです。
実は、高齢者による転倒事故の大半は自宅内で起こっています。階段やちょっとした段差などは転倒リスクが高く、大きな怪我を負う危険性がひそんでいるのです。介護が必要になってからリフォームを検討するのではなく、早めに動き出すことをおすすめします。
介護リフォームで利用できる制度としては、「介護保険」と「各自治体による助成金」の2種類があります。まず介護保険を申請し、足りない分は各自治体の助成金制度を利用できるかどうか確認してみるとよいでしょう。
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引用元:https://lea-tokyo.com/
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